Webサイト制作を外注する際、発注前にしっかりと準備をしておくことが、プロジェクトの成功を左右します。目的や課題の明確化、依頼範囲や予算・スケジュールの決定、そして信頼できる制作会社の選定は、トラブルを未然に防ぐために不可欠なステップです。また、契約内容の確認やコミュニケーションの徹底、納品後の運用体制まで見据えることで、理想的なウェブサイトをスムーズに完成させることができます。

 

発注前の準備と計画について

ウェブサイトを制作する場合、発注前の段階でしっかりと準備と計画を立てることが、プロジェクトの成功に直結します。

・目的・課題の明確化

ウェブサイト制作を発注する前に、まずは「なぜサイトを作るのか」という目的を明確にすることが大切です。たとえば、会社や商品のイメージを広めたい、問い合わせを増やしたい、採用活動を強化したいなど、目的によって必要な機能やデザインは異なります。同時に、現状の課題も洗い出しましょう。

 

たとえば、「問い合わせが少ない」「サイト内で迷子になるユーザーが多い」といった問題がある場合、それらを解決するための仕組みや導線を設計に盛り込む必要があります。目的と課題をしっかり整理することで、サイトの方向性が明確になり、後の工程がスムーズに進みます。

 

・依頼範囲・予算・スケジュールの決定

次に、制作を依頼する範囲や、予算、スケジュールを決めましょう。依頼範囲とは、たとえばランディングページのみの制作なのか、全ページのリニューアルなのか、新規サイトの立ち上げなのか、といった部分です。加えて、お問い合わせフォームや会員登録、EC機能など、必要な機能についても明確にします。

 

予算については、自社の資金計画に合わせて現実的な額を設定しましょう。スケジュールは、サイト公開の希望日から逆算して、制作期間や検証期間を確保することが重要です。これらをしっかり決めておくことで、制作会社との打ち合わせがスムーズに進み、追加費用や納期遅延のリスクを減らせます。

・制作会社の選定

最後に、制作会社を選定します。まずは複数の会社にヒアリングや見積もりを依頼し、提案内容や実績、対応力などを比較しましょう。提案依頼書（RFP）を作成し、依頼したい内容や目的、課題、予算、スケジュールなどを明確に伝えることで、より的確な提案を受けやすくなります。

 

また、制作会社とのコミュニケーションが円滑に行えるかどうかも重要なポイントです。信頼できるパートナーを選ぶことで、プロジェクト全体の質が向上し、トラブルも未然に防ぐことができます。

 

このように、発注前の準備と計画は、目的と課題の明確化、依頼範囲・予算・スケジュールの決定、制作会社の選定という3つの大きな項目で進めることが、ウェブサイト制作の成功につながります。

 

発注から制作・納品までの流れ

ウェブサイトを発注してから制作・納品までの流れは、大きく「契約・発注」「企画・設計フェーズ」「制作・納品フェーズ」の3つのステップで進みます。

・契約・発注

まず、発注を希望する制作会社が決まったら、契約を締結します。契約書には、作業範囲や納期、費用、追加費用の発生条件、著作権や知的財産権の取り扱いなど、プロジェクトに関する重要な事項が記載されます。

 

この段階で、依頼者と制作会社の間で認識にズレがないか、細かく内容を確認し合意することが大切です。発注後は、プロジェクトの責任者や連絡窓口を明確にし、円滑なコミュニケーションを図れるように準備します。

 

・企画・設計フェーズ

契約が完了したら、企画・設計フェーズに入ります。ここでは、サイトの目的やターゲット、コンセプトをもう一度整理し、具体的な設計に落とし込んでいきます。制作会社と協力して、サイトマップ（ページ構成図）や要件定義書、デザインガイドラインを作成し、ユーザビリティやSEO、アクセシビリティなども考慮した設計を行います。

 

このフェーズでしっかりと方向性を固めることで、その後の制作がスムーズに進みやすくなります。また、途中でデザイン案やワイヤーフレームのレビューを行い、修正や追加要望があれば随時反映させていきます。

 

・制作・納品フェーズ

企画・設計が固まったら、実際の制作が始まります。デザインの作成、コーディング、コンテンツ制作などが進められ、進捗状況を定期的に確認しながら、必要に応じて修正や調整を行います。

 

依頼者側は、中間成果物のレビューや動作確認を行い、問題点や要望があれば都度制作会社に伝えます。最終的な成果物が完成したら、納品前に細部まで品質チェックを行い、仕様通りに動作しているか、デザインやコンテンツに問題がないかを確認します。

 

問題がなければ正式に納品となり、プロジェクトは完了します。この段階まで丁寧に進めることで、理想的なウェブサイトを効率よく制作することができます。

 

契約の注意点とプロジェクト成功のポイント

ウェブ制作のプロジェクトを進める上で、契約内容や進め方によっては思わぬトラブルや成果物の質の低下につながることもあります。そのため、発注から納品、さらにその後の運用までを見据えて、契約時の注意点やプロジェクト成功のポイントを押さえておくことが非常に重要です。

 

・契約時の注意点

契約を交わす際には、作業範囲や納期、費用、支払い条件、著作権の帰属、検収ルール、再委託の可否、損害賠償や遅延損害金、契約解除の条件など、細かな内容をしっかりと明記しておくことが大切です。

 

特に、どこまでが契約の範囲なのか、追加作業や修正が必要になった場合の費用や手続き、納品物の所有権や著作権が誰にあるのかを明確にしておかないと、後々大きなトラブルになることがあります。契約書はテンプレートをそのまま使うのではなく、自社やプロジェクトに合わせて内容を確認・修正し、不明確な部分をなくしておきましょう。

 

・コミュニケーションとリスク管理

プロジェクトを成功させるには、制作会社とのコミュニケーションが欠かせません。プロジェクトの進捗状況や課題、変更や追加依頼は、必ず書面やメールなどで記録を残しながらやり取りしましょう。

 

また、リスク管理の観点からも、途中で仕様変更や追加依頼があった場合には、その都度契約内容を見直し、双方の認識をすり合わせることが重要です。制作会社が再委託をする場合も、その内容や責任範囲を事前に確認しておくと安心です。

 

・納品後の運用・保守

納品が終わった後も、サイトの運用や保守について契約内容を確認しておく必要があります。たとえば、バグや不具合が発生した場合の保証期間や対応範囲、保守契約の有無、運用サポートの内容などです。

 

また、サイト公開後も継続的な更新やメンテナンスが必要になる場合が多いため、制作会社との関係を維持し、必要に応じてサポートを受けられる体制を整えておくと安心です。契約書には、こうした運用・保守に関する条件も明記しておくことが推奨されます。

 

まとめ

ウェブサイト制作において、発注前の準備と計画はプロジェクト成功のカギとなります。まず「目的・課題の明確化」では、サイトを作る意義や解決したい課題を整理し、必要な機能やデザインの方向性を定めます。

 

次に「依頼範囲・予算・スケジュールの決定」では、制作範囲や予算、納期を明確化し、制作会社との認識齟齬を防ぎます。さらに「制作会社の選定」では、複数社の比較やRFP作成により信頼できるパートナーを選びます。

 

発注後は「契約・発注」「企画・設計フェーズ」「制作・納品フェーズ」の流れで、契約内容の確認や設計、制作・納品までを丁寧に進めます。また「契約の注意点とプロジェクト成功のポイント」では、契約時の細かな条件確認やコミュニケーションの徹底、納品後の運用・保守体制の整備が重要です。