ウェブ制作を依頼する際、SEO対策もあわせて考えたいと思っていても、専門用語が多く何をどう伝えればよいのか分からないという方は多いです。特に発注者がSEOに不慣れな場合、制作者との認識のズレが成果に直結することもあります。

そこで本記事では、SEO対策を意識したウェブ制作において、発注者が知っておきたい基本項目や具体例、依頼時に伝えるべきポイントをわかりやすく紹介します。

SEO対策ウェブ制作の具体例を知ろう

専門用語が多く、何を依頼すべきか迷う発注者でも、基本的な方向性を理解しておくことで、無駄のない制作依頼と効果的な集客が可能になります。こちらでは、SEO対策を意識したウェブ制作を発注したいと考える方に向けて、具体例を交えてポイントを解説します。

「内部対策」の基本項目例

SEO対策でまず重視されるのが、HTML構造やタグ設計などの「内部対策」です。たとえば、各ページに適切なタイトルタグ（title）と説明文（meta description）を設定することは、検索エンジンにページ内容を正確に伝えるうえで重要です。また、見出しタグ（h1、h2など）を使って情報を整理することも、検索エンジンとユーザー双方にとって有益です。

これらは制作者の判断に任せず、「主要ページにはタイトル・見出しを明確に設定してください」などと具体的に伝えることが有効です。パンくずリストや内部リンクの設計は、検索エンジンの巡回効率やユーザビリティを高め、結果的に評価につながる可能性があります。

SEOに強い制作者であれば、これらの基本項目を標準で対応してくれることが多いため、打ち合わせ段階で「内部対策を意識した構造設計は対応可能ですか？」と確認しておくと安心です。

「コンテンツ設計」の具体的な依頼内容

次に重要なのが、ユーザーが求める情報を的確に提供できるコンテンツ構成です。SEO対策では、「検索意図に合った内容を網羅しているか」が評価の鍵となります。たとえば「オンライン英会話」というテーマなら、料金比較・講師の質・効果的な学習方法など、多角的な視点を含んだコンテンツが求められます。

依頼時には「ターゲットとなるユーザー像」と「キーワード（例：格安オンライン英会話）」を共有し、関連する話題を盛り込んだ記事構成を提案してもらうとよいでしょう。また、「ブログ機能を設けて、定期的に更新できるようにしたい」「特定キーワードに基づいたページを複数設けたい」といった要望も伝えておくと、より効果的なSEO設計が可能になります。

文章作成も依頼する場合は、「SEOを意識した記事作成の経験があるか」を確認するのが理想です。

「モバイル・表示速度」への配慮

近年はスマートフォン経由のアクセスが主流になっており、モバイル対応と表示速度の最適化は必須のSEO対策です。Googleもモバイルファーストインデックスを採用しており、モバイル版の表示品質が検索順位に影響します。

発注時には「スマホでの見やすさ」「読み込みスピードの速さ」を確保するよう依頼し、「レスポンシブ対応が基本設計に含まれるか」「画像やコードの軽量化に対応しているか」をチェックしましょう。表示速度は、ユーザーの離脱率にも直結するため、速度改善の実績がある制作者に依頼できると安心です。

また、PageSpeed Insightsなどの計測ツールを使って、納品前後で速度評価の共有ができると、より納得のいく成果を得られます。なお、PageSpeed Insightsはページの表示速度に関する改善点を可視化する便利なツールですが、スコアのみにとらわれすぎず、実際のユーザー体験とのバランスを見ながら対応することが大切です。

必ず伝えたいSEO視点の要件３選

制作会社やフリーランスに丸投げするのではなく、自社の目的や方針を的確に伝えることで、より効果的なSEO成果が期待できます。こちらでは、SEO対策を意識したウェブ制作を依頼する際に、発注者が必ず伝えておきたい3つの要件をご紹介します。

ターゲットキーワード・顧客像の共有

SEO対策で成果を出すためには、誰に向けたサイトなのか、どのキーワードで検索されたいのかを制作側と共有することが非常に重要です。たとえば、同じ「整体院のサイト」でも、学生向けと高齢者向けではコンテンツの構成も使う言葉も変わってきます。

あらかじめ、自社のターゲットユーザー像（年齢層、地域、悩み）や、狙いたいキーワード（「腰痛 整体 札幌」など）を明確に伝えることで、コンテンツやデザイン、導線設計にも反映してもらうことができます。曖昧なまま依頼してしまうと、成果につながらないコンテンツになりやすく、修正コストも増えるため、初期段階での情報共有が欠かせません。

metaタグ・構造化データの設定依頼

SEO対策においては、metaタグ（タイトルタグやディスクリプション）の適切な設定が基本中の基本となります。Googleの検索結果に表示される内容に直接影響するため、どのようなキーワードを含めるか、どんな訴求にするかが検索クリック率を左右します。

発注時には、特に主要ページ（TOP、サービス、料金、ブログ一覧・詳細など）においては、metaタグの最適化を重点的に依頼すると効果的です。また、構造化データ（リッチリザルト対応）は、レビューやFAQ、商品情報などをGoogleに正しく伝える役割を果たします。

ただし、マークアップしてもリッチリザルトとして表示されるかはGoogleの判断によります。対応可能な構造化データの種類を確認し、必要なデータがあれば組み込んでもらえるよう依頼することで、検索結果での視認性や信頼性が高まります。

更新や運用のしやすさ

SEOは納品して終わりではなく、運用しながら改善を重ねることが前提です。そのため、発注時には「更新のしやすさ」も必ず意識する必要があります。CMS（WordPressなど）の導入や、管理画面から記事や情報を簡単に追加できる設計になっているかは、運用負担を左右する大きなポイントです。

また、SEOにおいては新しいコンテンツを追加したり、既存のページを更新したりすることが重要なため、テキストや画像の編集作業を内製できるかも事前に確認しましょう。更新代行や運用サポートが別料金で提供される場合もあるため、契約内容とその費用も合わせて確認しておくとトラブルを防げます。

発注時に気をつけるべきチェックリスト

SEOを意識したウェブ制作を依頼する際は、制作会社との認識のズレや、納品後の後悔を防ぐためにも、事前のチェックが欠かせません。サイトを作るだけで終わらせず、検索エンジンからの集客につなげるには、発注段階からの適切な準備と確認が重要です。以下では、発注時に意識すべきポイントを整理しています。

見積もりの段階で確認したいSEO対策の内容

見積もりを依頼する際は、費用の内訳だけでなく、どのようなSEO施策が基本対応として含まれているのかを確認することが大切です。具体的には、titleタグやmetaディスクリプションの設定、パンくずリスト、内部リンク、画像のalt属性対応などが基本的なSEO要素です。

さらに、構造化データの実装、モバイル対応、表示速度の最適化といった技術面の対応が含まれているかも確認しましょう。記載がない場合は、追加対応の可否と費用についても事前に把握しておくと安心です。

制作会社に事前確認したい質問例

発注前には、制作会社のSEO理解度や実績を確かめるため、いくつかの質問を用意しておくと安心です。「これまでにSEO効果が出た制作事例はありますか？」「納品時に検索エンジン向けの基本設定まで対応してもらえますか？」「GoogleサーチコンソールやGoogleアナリティクスの設定も含まれますか？」などの質問が有効です。

また、CMSの導入可否や、納品後に自社で記事やページの更新が可能かどうかも確認しておくと、運用後の負担を軽減できます。

納品後に取り組むべきSEO運用

ウェブサイトの完成はゴールではなく、SEO対策のスタートです。納品後には、まずGoogleサーチコンソールとアナリティクスを設定し、検索パフォーマンスやアクセス状況を定期的にモニタリングできる状態に整えましょう。また、コンテンツの継続的な更新や記事追加によって、検索順位の安定や向上を目指すことが重要です。

自社で更新作業を行う場合は、納品時に操作マニュアルの提供を依頼するとスムーズに運用を始められます。さらに、万が一の不具合や改善対応に備えて、保守契約やサポート体制の有無についても事前に確認しておくことが大切です。

まとめ

SEO対策を意識したウェブ制作を成功させるには、単に制作会社に任せるのではなく、発注者自身が一定の知識を持ち、目的やキーワード、ターゲット像をしっかり共有することが重要です。内部構造やコンテンツの設計、モバイル対応や表示速度など、検索順位に影響する要素は多岐にわたりますが、それぞれに明確な対策と対応の方法があります。

たとえば、タイトルタグやパンくずリストの設置、構造化データの活用といった具体例を踏まえて依頼内容を整理しておけば、制作者も方向性をつかみやすく、成果につながりやすくなります。また、納品後の運用や更新を見据えたCMS設計やサポート体制も確認しておくことで、長期的に効果を高めることが可能です。

SEOは一度の制作で完結するものではなく、改善と運用の継続が前提です。だからこそ、発注時から明確な要望と対話を重ね、信頼できるパートナーと共に進めていくことが求められます。